カラオケ好きも集う地域のコミュニティ老舗銭湯「蒲田温泉」
大田区在住の知人にとあるドラマをお勧めされた。それは見ると思わず銭湯に行ってビールを飲みたくなってしまう内容なのだという。さらに「せっかく蒲田近くに住んでいるのだからまずは『蒲田温泉』でしょう」とも。
そんな話を聞いた夜、まだドラマは観ていなかったが早速行ってみた。
昭和12年創業。
戦争も乗り越えた老舗銭湯だ。
「蒲田温泉」と大きな看板が掲げられた路地を入った右手に入り口があった。二階建ての建物はかなり大きい。自転車もたくさん停められていた。
まずは玄関の自動販売機でチケットを購入。
紙のチケットではなく、プラスチックプレートの入場券だ。
フロントではリンスやシャンプーなど販売されている。
ただ中にもボディソープとリンスインシャンプーが置かれているので買っていく必要はない。
入ってフロント横を見てびっくり。
つい1時間ほど前に聞いたドラマのポスターが貼られていた。
名前は「昼のセント酒」。
テレビ東京で2016年4月から放送された連続ドラマで、毎回異なる銭湯が舞台となっている。どこもその名を知られた有名・老舗銭湯だ。
面白そうなので今度DVD借りるかネットオンデマンドで見てみたい。
まずは温泉へ。
ここももちろん黒湯。沈んだら数センチ下も見えなくなるほど濃厚で重たいどろりとした感触もあるお湯。
そして一か月の間に、ここ含め徒歩圏内3か所の黒湯温泉に入ったが、ここの湯が一番、肌をすべすべにしてくれる気がした。
黒湯湯船は2つに分かれていて、ひとつはかなり熱め。
私はむしろぬる湯好きなんだけど、やはり湯は熱くなくちゃ!という人ならきっとうれしいだろう。
黒湯ではないバブルジェットの湯船も、ラジウム鉱石を通した湯とのこと。
ここも常連さんが多いようで、浴室の中では挨拶が飛び交う。年配女性と若い女性が「お母さん元気?」など会話していたりも。顔なじみの人が多いのだろう。
更衣室で着替えていたら、突如隣から美声の男性の歌声が。
すると女子更衣室にいた人の間で「あら、〇〇さん来てるのね」なんて声も。わかっちゃうんだ!
ここは銭湯だけど、二階の大広間で食事ができる。
結構広く、なんとステージまである。
私が入っていった時はカラオケをやっている人が。この後も他の人が次々曲を入れ歌が続いた。
一品料理中心に充実のメニュー。
釜飯などもある。
階段の途中に「汐焼きそば」が名物のようなことが書いてあったので、それを注文してみた。
一体どんなのだろう?
「昼のセント酒」話にそそられてやってきたので、当然ビールも注文。
「ビール、生中ひとつ下さい」
「はい」
笑顔穏やかなママさん。
厨房のほうに向かいかけてすぐ戻ってきた。
「あ、冷たくないのでいい?」
「え?」
「冷たいビールじゃなくていいの?」
「えっと・・・」
ぬるいの?
サーバー壊れてるの?
冷たいビールがいいと答えれば冷たくなるの?
大田区民はぬるいビールを飲む習慣でもあるんだろうか。日本では聞かれたことがない質問に、完全に絶句していたらこの人は理解してないなとポスターを指差した。
「ああっ!いいです、エクストラコールドじゃなくて普通ので!」
いやー、わからなかったわ。
そんなわけで普通の(冷たい)ビール。
ドラマ「昼のセント酒」は、広告代理店の営業マンが仕事の途中で銭湯に入ってしまい、さらに一杯ひっかけてしまうというストーリーのようだ。
公式サイトには「背徳と至福、ここにあり。」とある。
確かに真昼間に銭湯入ってさらに冷たいビールなんか飲んだら、世間様に申し訳ないなあと思いつつ何とも言えない幸せを感じそうだ。
第三話はこの蒲田温泉が舞台だ。
と、ここで名物「汐焼きそば」が登場。
マグロのすき身かなにかがまぶされているのだろうか。浅利も入ってる。これは美味しそうだ!
・・・と一口食べてみてびっくり。
赤いのはすべて、カリカリ梅だった。
名物は名物でもこれ、蒲田温泉の名物ではなく大田区のご当地ぐるめ。いくつもの飲食店で出されているとのこと。
鶏ガラスープがよく効いた味で、梅だけでなく全体的に塩分多めの焼きそば。もっちりした麺も美味しかった。ほかの店でも食べてみたい。
帰りにフロントの前の棚を観たら、蒲田温泉のTシャツが売られていた。色もサイズバリエーションもいろいろ。千円と安いし、ちょっと欲しいかもこれ。
さらに奥を見ると自分で作れるソフトクリーム機も。
面白そう!
銭湯なんだけど、良質の黒湯温泉に浸かれ、さらに二階の大広間で飲んだり食べたり、さらにはカラオケもできちゃう場所。常連さんが多い銭湯ならではのほのぼのした雰囲気もとてもよく、フロントや大広間の女性もとっても感じよかった。
歩いて10分くらいなので、温泉後のビールが飲みたくなったらここに来ちゃうかも。
いつか昼間に来て「ああぁ、申し訳ない!」とか言いながら冷たいビールを飲んじゃおう♪















































